長崎地方裁判所佐世保支部 昭和58年(わ)222号 判決
本籍
長崎県佐世保市大和町四〇八番地
住居
同市白岳町四五一番地二
食料品店「しらたけフード」従業員
古賀俊弘
昭和二七年九月四日生
右の者に対する公務執行妨害、障害被告事件について、当裁判所は、検察官秋月宗近出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役五月に処する。
ただし、本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、佐世保市白岳町四五一番地二所在食料品店「しらたけフード」(経営者古賀善次郎)の従業員として、同店における食料品の仕入れ、経理、所得申告等の事務を担当しているものであるが、昭和五八年七月二六日午後二時ころ、同店において同店の昭和五七年度分事業所得に関する事後調査のため来店した佐世保税務署所得税資産税第二部門に勤務し、国税調査官として申告所得税の調査及び賦課等に関する職務を担当している大蔵事務官吉原洋行(三三才)から五七年度分の所得税事後調査をしたい旨申入れを受け、同調査への協力方を求められるや数回にわたり両手で同人の胸、肩付近を突き飛ばして、店内のプラスチック製玉子ケース等にその背部等を打ち当てさせる暴行を加え、もつて同人の公務の執行を妨害するとともに、右暴行により同人に対し、加療約二週間を要する右上腕中央部、右上胸中央部、右肩甲部、右背部打撲傷、右前腕背側擦過傷の傷害を負わせたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する昭和五八年八月二五日付、同月二七日付各供述調書
一 吉原洋行の検察官に対する供述調書四通
一 森岩雄の検察官に対する供述調書
一 古賀正博の検察官に対する供述調書
一 司法警察員作成の検証調書及び写真撮影報告書
一 医師千住博資作成の診断書及び同人の検察官に対する供述調書
(法令の適用)
判示所為
公務執行妨害の点 刑法九五条一項
傷害の点 同法二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項
観念的競合 刑法五四条一項前段、一〇条(傷害罪の刑で処断し、懲役刑選択)
刑の執行猶予 同法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 吉永忠)